みんなネガネをかけている

臨床心理士と小さな塾の先生をやっているOQCの雑記帳。twitterでの発言や考えたことなどをまとめています。

感情コントロールについて 3

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感情って何?

自分の感情をとらえる時、自分がどんな感情を感じているのかを意識することが必要になってきます。 どうしてそれが必要になるのかということを説明するために、感情というものが自分の中に生まれる時、どんなことが頭の中で起きているのかを書いてみたいと思います。 まず、私たちがとても「びっくりする」経験をしたとします。 夜中にトイレに起きて、トイレのドアを開けたら、ゴキブリが飛び出してきたとします。

「あーびっくりした」と感じた時、一瞬のうちに頭の中では以下のようなことが起きていると考えられています。

体が危険を感じて臨戦態勢に入る

ゴキブリが視界に入った瞬間、私たちの体は血流が増加し、心拍が上がり、他にも緊急の事態に備え、体を素早く動かすための準備をします。 これは、私たちがまだ原始人で、マンモスやヘラジカを追って生活していた頃から体の中で起きていた変化です。 その時代では敵に襲われたときに、すばやく体を動かして逃げ延びたり、獲物を確実に捕まえるために必要な体の生理的な変化でした。 しかし現代では街を歩いていて虎に襲われるなどということはありません。 だから、ずっと臨戦態勢のままでいる必要はありません。

脳は体の状態を適切に判断して落ち着かせようとする働きをする

臨戦態勢だった体の状態がもとの状態に戻るとき、脳の一番外側のしわしわの部分が働きます。 この、しわしわの部分は大脳皮質といいます。チンパンジーやボノボなど、霊長類やヒトでのみ発達した部位だそうです。 ここがどんな働きをして臨戦態勢にある体を静めていくかというと、「ことば」によって状況を評価します。 先の例でいえば、一瞬のうちに「ゴキブリは気持ち悪いけど、噛むわけでも攻撃してくるわけでもない」という評価を行います。 すると、その評価に従って、体の状態は平常時に戻っていきます。

大脳皮質以外の脳の部位、生命活動を司る脳幹や情動に関連する大脳辺縁系という部分なども感情には関連します。 この2つの部位が大まかな感情を伝え、それを大脳皮質は細かく評価します。 簡単にいうと、ある出来事に遭遇し、感情がわき上がったとき、その感情を評価しているのは脳のしわしわの部分です。ざっくり言うとね。

評価とラベリング

どうしてこの評価が大切なのかというと、評価することで私たちは感情をうまく付き合っていけるからです。 私たちは名前のないものを呼ぶことはできません。 名前がついて、その名前と対応する状態を理解して初めて、私たちは感情を受け止めて、さらにそれに振り回されなくなっていきます。 怒っているという状態がわからなければ、怒りを静めることはできません。 嬉しい状態と怒っている状態の区別ができなければ、本当は怒っているのに「嬉しい」と言ってしまう。 これはとてもしんどいことです。言葉になることで、今自分が平常時とどのくらい離れていて、どうすれば落ち着いた気持ちになれるのか考えることができます。

言葉にならない感情たちをどうする?

そうはいっても、すべての状況で大脳皮質がうまい具合に働いてくれるかというと、そうでありません。 なんとなくモヤモヤしてる、なんとなくイライラしている。 体の中の不快感を感じてはいるものの、それに名前がつかない。しかもその原因もよくわからない。そんな時もあります。 そういった時は、イライラしている、ムカムカしている、なんだか腹の虫の居所が悪い。そんな言葉で、自分で受け止めてみるのかいいかもしれません。 自分で自分の感情を受け止めるのに、遠慮することはありません。ムカムカかイライラかわからないけど、なんか居心地が悪い。そういうのでもいいです。 ムカムカした感じ、イライラする感じを認めることで、体が落ち着いた状態へ戻る道筋が示されます。

しんどい感情をどうする?

悲しみや怒りというのは自覚するのにエネルギーを使います。 だから、最初は「楽しい」という感情から考えていくといいかもしれません。 好きなことをしているとき、体の状態はどんな感じか、どんな感覚か。その感覚に感情のラベルを貼ってあげるとしたら、何という名前にするのか。 ここにたくさんの語彙は必要ありません。今は楽しさのレベルで言えば何レベルか。そういうことを少し意識してみることで、少しラベルをつける作業が楽になるかもしれません。 「感情コントロールについて2」でも書きましたが、落ち着いた状態を意識して、ラベリングすることもいいと思います。

今回はここでいったん終了。 次回はもう少しラベリングの話。次回で感情コントロールの話は終わります。